いつものようにそっと触れ、優しい蕩けるかのように甘いキスをしてくれる敦賀さん。
子供である私に合わせてくれているとわかる優しい仕草。
大人である敦賀さんにはきっと物足りないだろうにいつだって彼は私のことを優先してくれて、どんなときにでも私のために行動してくれる。
けれど。
時にそれが物足りなくなることがある。
普段はとても嬉しいんだけれど時に私はそんなに脆くないと叫びたくなる。彼の優しさがもどかしくて。彼の思いやりが淋しくて。
敦賀さんの過去の恋人と比べても仕方がないんだって解ってはいるけれど。それでも前に彼にこんな風に優しく愛されただろう女性達を思うと、どうしようもない不安に駆られる。
いつか子供である私に飽きてしまうんじゃないかって。敦賀さんと対等に話すことの出来る大人な女性が現れるんじゃないかって。
敦賀さんと想いが通じ合った時はこの優しい優しいキスだけで満ち足りて幸せでただただ愛しいって気持だけが溢れていた。
けれど今はそれだけじゃ足りない。
もっと彼に愛して欲しい。もっと彼に私を知って欲しい。
貪欲なまでに彼を欲している。
もし叶うなら彼と一つに溶け合ってしまいたい。
そうしたら私の世界は彼だけになって彼とすべてを共有して彼と共に生きていけるのに。
敦賀さんがいるなら私は世界なんていらない。