愛してるって不思議。
言われても嬉しいし。
言っても幸せ。
「愛してる」は幸せの呪文。
愛してる
あんまり幸せで、ふっと笑いが漏れてしまった。
夜、敦賀さんの家で2人並んでソファに座りDVDを観る。
手にはココアを持って、肩には敦賀さんの手の温もり。
私は敦賀さんの肩に頬を寄せる。
大先輩である敦賀さんにDVDを観ながら演技指導を受けられる。
なんて幸運なんだろう。
もちろん幸せの本当の理由はそれじゃないけど。
「キョーコ?どうしたの?」
突然笑った私を不思議に思ったんだろう。
敦賀さんが私の顔を覗き込んできた。
ん?って微笑まれて、私は首を振った。
なんでもないんです。ただ・・・・・。
「幸せだなって」
敦賀さんはくすって笑って私の額に唇を寄せてきた。
「俺も幸せだよ。キョーコがすぐに触れらる場所にいてくれるから」
それまでが長すぎたからね、なんてからかい気味に言って。
私はこの人を選んでよかったんだなって心から思う。
敦賀さんのことを中々信じられずに遠回りしてしまったけれど。
「幸せだって思ってくれるのは嬉しいんだけど」
はっと気付くと、敦賀さんが似非紳士スマイルを浮かべていた。
「俺と一緒にいる時に、俺のことを忘れるのは駄目だよ?キョーコ」
そう言いながら徐々に私をソファに押し倒していく。
敦賀さんの手は私の胸に。
「ちょっちょっ・・・・・敦賀さん!!!!!!
何やってるんですかっ!!!!
今日はなしだって言ったでしょう?」
「キョーコが悪いんだよ?
俺のことを忘れたりするから。
忘れたりしないようにしてあげなきゃね?」
忘れてませんって。
忘れられるはずないじゃないですかぁ。
心の中でどれだけ言っても無駄。
声に出して言っても聞いてくれないことが多いのに。
多分今、私の顔は真っ赤だろう。
触れ合えるのは嬉しい。
敦賀さんはすごく優しいし、初心者の私に合わせてゆっくりしてくれるから。
でも今日は・・・。
明日も早いし、何より演技指導の続きをして欲しい。
「大丈夫、大丈夫。
演技指導はいつでもしてあげるから、ねっ?」
心の中読まれてる・・・・・・。
それに何が「ねっ?」なんですか!!!
「さっき幸せだって言ってくれたのは嘘だったの?
本当は俺のこと嫌い?」
恋人になる前によく見せてくれていたすっごい切ない瞳で、敦賀さんは私を見つめる。
その瞳を見ると胸がギュッとなって、抱きしめたくなる。
「そんなことありません。
私は敦賀さんのこと愛してます」
私がそう言うと、敦賀さんはふわっと笑って返してくれた。
「俺も愛してるよ、キョーコ・・・・・」
重ねられた唇。
深く、長い情熱的な口付け。
そしてまた、熱い夜が始まる。
愛してるって不思議。
言われても嬉しいし、
言っても幸せ。
「愛してる」は幸せの呪文。
幸せだから、幸せになりたいから。
そして何よりも貴方のために。
私は貴方を愛しています。
愛してる、と伝えることの出来る幸せ。